国際数学オリンピックの難問から~バッタの問題~ (6)
守備側必勝の手を攻撃側がしてしまった場合、さて、各攻撃に対して何通りくらいの守り方(つまり、集合Mの個数)が存在しえるのであろうか?
n=4 の場合、
a(1)=1,a(2)=2,a(3)=3,a(4)=4 であれば、M={2,3,4,5},{3,4,5,6},{4,5,6,7},{5,6,7,8}の 4通りも存在する。これは、最悪の攻撃と言わざるをえない。前にも書いたが、n回ジャンプするゲームであれば、a(n)=nとなるこのような単純な攻撃は、自明に負ける。
守備側と同様、攻撃側についても、a(1)=1,a(2)=2,a(3)=3,a(4)=4であることを、A={1,2,3,4}と集合で表現する。
いくつか計算した結果を列挙すると、
A={1,2,3,4} ⇒ M={2,3,4,5},{3,4,5,6},{4,5,6,7},{5,6,7,8}( 4通り)
A={1,2,3,5} ⇒ M={1,3,5,7},{4,6,8,10}( 2通り)
A={1,2,3,6} ⇒ 該当するMはなし( 0通り)
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実際に計算した結果をまとめた表を掲載する。
いろいろやっていくと、「該当するMはなし」の比率が圧倒的に高そうである。
攻撃側が漫然と手を示した場合、守備側がパスをして勝てる確率が高いということなのである。
すると、本ゲームの要点は、
・攻撃側は、守り切れなさそうで、実は守る方法の存在する攻撃を提示する。
・守備側は、守る方法のある攻撃だと判断して、守る手をひらめく。
これを競うことに尽きよう。