国際数学オリンピックの難問から~バッタの問題~ (5)
前回に作成したゲームのルールを、あらためて整理しよう。
と整理できる。
さて、このようなルールに沿ったゲームを実行すると、攻撃側が有利と私は予想した。手始めに、n=4の場合をExcelのマクロで調べた。その結果・・・
・a(1)=1,a(2)=3,a(3)=4,a(4)=5 の場合
このときMは、1から12(= (1+3+4+5) - 1)までの整数から4つを選択した集合となり、その個数は、(12)C(4) - 1 = (12×11×10×9) /(4×3×2×1) - 1 = 494 個となる。1を引くのは、M={1,3,4,5}が禁じ手であるため。
結果:M={3,4,5,6},{7,8,9,10},{8,9,10,12}の3通りの場合、守備側の勝ち。
→攻撃側の負け。
・a(1)=1,a(2)=3,a(3)=4,a(4)=6 の場合
Mの個数は、(13)C(4) - 1 = 714 個。
結果:M={8,10,11,13}の場合のみ、守備側の勝ち。
→攻撃側の負け。
ここまでのところ、単純に確率を考えればレアケースであるにせよ、攻撃側の必勝パターンはまだ見つけていない。私のショボさなのか?
と、ここで一つのことに気付いた。
ジャンプを 4回行う場合、4回目のジャンプは4通りの場合がある。ということは、3回目のジャンプの着地点もちょうど 4通りあることになる。実際、(4)C(3) = (4)C(1) = 4 である。
そう、もし守備側が、4通りある3回目の着地点を要素として集合Mを作れば、必ず 3回目のジャンプの着地点が Mの要素となるから、攻撃側の負けである。
すなわち、という条件に加えて、
という条件も追加しなければ、守備側必勝なのである。
またもや整理すると、
となる。
こうすれば、前出の a(1)=1,a(2)=3,a(3)=4,a(4)=5 の場合、M={3,4,5,6},{7,8,9,10},の 2通りのいずれかを選択すれば、守備側の勝ちで、a(1)=1,a(2)=3,a(3)=4,a(4)=6 の場合、無条件で攻撃側の勝ちとなる。
これで、自明ではない手の有無を問うゲームとなったのではないか。
ただしこのルールであれば、
①守備側の手がないようなジャンプを攻撃側が選択したなら、攻撃側の勝ち。
②守備側の手が存在するジャンプを攻撃側が選択しても、Mに着陸させる数少ない手を思いつかなければ、守備側の負け(攻撃側の勝ち)。
であり、守備側がかなり高度なことを求められる規則である。
したがって、「ゲームらしく」するための工夫が求められるところである。
そこで、こういうのはどうであろうか。
①守備側の手がないジャンプを攻撃側が選択したなら、守備側が「パス宣言」すれば守備側の勝ち。しなければ攻撃側の勝ち。
②守備側の手が存在するジャンプを攻撃側が選択したら、Mに着陸させる手を思いつけば守備側の勝ち。しなければ攻撃側の勝ち。守備側が「パス宣言」すれば、攻撃側の勝ち。
この要素を組み入れると、
<結果>
(②(i)の場合)①の攻撃側の手が、守備できないジャンプであったなら、守備側の勝ち。実は守備できたのなら、攻撃側の勝ち。
(②(ii)の場合)①の攻撃側の手が、ジャンプの順序次第でする
どんなものであろうか?
(つづく)