大相撲の「巴(ともえ)戦」あれこれ
大相撲における、3力士による優勝決定戦を、「巴(ともえ)戦」と称する。
くじ引きで、最初に取り組む2力士を選ぶ。1人は土俵下で休む。勝った力士が、休んでいる力士と取り組み、最初に連続で2勝した力士が優勝となる制度である。
実はこれ、不公平な制度なのだ。
同じ強さの力士が3人出場すると仮定しても、最初に取り組む2力士の優勝確率は各5/14(35.7%)、最初に休んでいる力士の優勝確率4/14(28.6%)。
最初の2力士の優勝確率をそれぞれP(1),P(2)、最初に休んでいる力士の優勝確率をP(3)とすると、
P(1) + P(2) + P(3) = 1
P(1) = P(2)
(1/4) + (1/8)P(3) + (1/4)P(3) = P(1)
という連立方程式が成立して、その解は、
P(1) = 5/14、P(2) = 5/14、P(3) = 4/14
だからである。
もしここで、連続で取り組んだ力士には、一時的に実力の劣化が生じているとすれば、どうなるであろうか?(一番休むと実力は回復すると仮定する。)
連続で取り組む力士が勝つ確率 (1-e)/2、負ける確率 1- (1-e)/2 = (1+e)/2 とおくと、
P(1) + P(2) + P(3) = 1
P(1) = P(2)
((1-e)/4) + ((1+e)^2/8)P(3) + ((1+e)/4)P(3) = P(1)
という連立方程式が成立して、その解は、
P(1) = (5+2e+e^2) / 2(7+4e+e^2)
P(2) = (5+2e+e^2) / 2(7+4e+e^2)
P(3) = (4+4e) / 2(7+4e+e^2)
である。
今、e=0.2 つまり、連続で取り組む力士が勝つ確率が (1-0.2) / 2 = 0.4 = 40%、負ける確率が60%であったならと仮定して計算した。
最初の2力士の優勝確率P(1),P(2)は各34.7%、最初に休んでいる力士の確率P(3)は30.7%となる。
多少ではあるが、改善されていることになる。ただし、実力の劣化~回復という仮定がそう間違っていないという条件付きで。
まあ、三段目レベルの仮説だろう。
ただこの巴(ともえ)戦、戦後わずか6度しか実現していない。