森毅「数学的思考」
なかなか骨太の本である。
いわゆる森毅調ではない。
世界の文化の歴史に、ヨーロッパが現れるのは、十字軍からである。そして、もうそれからは、世界の歴史とはヨーロッパの歴史のことになってしまう。
十八世紀の「数学」の最も代表的な著作は、ラグランジュの「解析力学」といわれる。ギリシャ人たちが、その世界観を幾何学に託したように、ヨーロッパ人たちは、その世界観を力学にたくしたのだった。
十八世紀までは、数学と理論物理はひとつのものであったが、十九世紀になると、数学と物理学の間は引きさかれる。
森さんらしくない、堅苦しい部類の本。 かなり昔に書かれたため、時代のズレは避けられていないけども、奥は深い。読みこなすには修養が必須。